最新号24.6号(日本版5.6号)の目次紹介!

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Costa Da Morte

「死霊海岸」

スペイン、バスク地方の死霊海岸で発見された殺人的スラブ
文:ポール・エヴァンス&バスティン・ボバーム
北大西洋に突きでたフィニステレ岬はスペインの北西部に位置する。ここはヨーロッパのサーフィンにとって未開の地。地理上においても僻地(へきち)で、天候はいつも荒れている。さらに世界史のうえでも、北アフリカとヨーロッパを結んで栄えた交易ルートとここは縁がない。さて’00年代後半になって、ふたりのサーファーがこの地の探索に取り組んだ。バスク地方のアクシ・ムニアインとモロッコ人のジェローム・サーヨンのふたりだ。彼らはヨーロッパに残された最後のビッグウェーブをこの地で発見し、数年にわたって秘密裏にサーフィンをつづけた。そこはガリシア州の死霊という名の海岸線だった。ここの大自然に秘められた波のクオリティは計りしれないが、ハセゴーのようにすぐに発展するかというと、まだ時間はかかりそうだ。

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k*meador

「カシア・リン・ミーダー」

マリブのティーン時代、一枚の写真でブレークしたカシアが明かす、流れに身を任せながらすべてをこなす術(すべ)
文:ジェイミー・ブリシック
カシアの人生は最高。16歳でロキシーガールになって以来、世界中を駆けめぐりながら、クリスタルみたいなバレルを抜け、有名フォトグラファーとの撮影をこなし、‘00年代を代表するサーフムービーの数々に出演してきた。ロングボーダーとして試合が占める割合はごく小さなもので、そのほとんどを”オン・ザ・ロード(小説『路上』)”の精神で旅と経験と発見についやしてきた。ひじょうに好奇心が強く、訪れた場所で出会うすべての人々、場所、文化を吸収してきた。また彼女はLAダウンタウンにスタジオを持っていたりと、今どきな部分もあるにはあるが、過去とのつながりがとても深い。レトロムーブメントがファッションになる前から、すでにジェフ・ハックマン、ナット・ヤング、ドナルド・タカヤマなどに傾倒していたのだ。

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POP

「パシフィック・オーシャン・パーク」

ロサンゼルスの一握りのローカルサーファーが独占的に波を享受(きょうじゅ)してきた、桟橋の下の閉ざされた楽園。そこは、けっして存続しえない反ユートピアだった
文:クリストファー・メリット&ドメニック・プライアー
ドキュメンタリー映画『DOG TOWN & Z-BOYS』の冒頭近くで映しだされた、廃墟(はいきょ)となってビーチから突きでたパシフィック・オーシャン・パーク(POP)の下でサーフするシーンは、観る者に強烈なインパクトを与えたが、POPこそが‘70年代のサーフィンやスケートボード、それから派生するさまざまなアートといったカウンターカルチャーのシンボル的存在だった。

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The Real Jamie O’Brian

「ジェイミー・オブライエンの素顔」

不安定な家庭に翻弄(ほんろう)され、愛するパイプの波に血まみれにされ、まわりには麻薬と暴力がはびこる。そんな“白いMr.パイプライン”のリアルな生い立ちにせまる本記事。山の手のお坊っちゃまにはお勧めできません。
文:ジェド・スミス
ジェイミーが初めてパイプラインにパドルアウトしたのは8歳のとき、以来彼はニーボード、ボディーボード、パドルボード、アイアンマン、ショートボードの部門で州チャンピオンに輝き、そして21歳のときにパイプラインで優勝し、頂点を極めた。しかし、彼のそれまでの人生はノースショアの白人ゆえに味わういじめや集団暴力、それこそ映画『バスティン・ダウン・ザ・ドア』の世界があった。それゆえ“白いMr.パイプライン”と呼ばれるゆえんだった。しかし、ジェイミー・オブライエンは不屈の精神で乗り越える。。彼の『Freakshow』と『Freakside』という二本のシグネチャーフィルムは、ヘビーウェーブ・パフォーマンス・サーフィンの世界に、新たな金字塔を打ち建てた。そしていま、彼のキャリアの集大成ともいえる “Who Is JOB”のレンズを通して彼は、毎週、危険極まりないギリギリの映像をカメラに収めては、それを世界中に配信しているのだ。

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Like A Duck Takes To Water

「アヒルの歩みの如(ごと)く」

手探りの挑戦、日本初のサーフボードビルダーをめざした高橋太郎とダックス・サーフボード。
文:森下茂男
国産のサーフボードはおろか、アメリカ製サーフボードさえ輸入されていなかった1960年代初め、サーフィンをはじめるには自分でサーフボードをつくるしかなかった。しかし、自作したくてもサーフィンそのものの情報がほとんどなく、サーフボードの素材、長さ、重さ、そしてどうやってつくるのかさえわからない時代に、日本最初のサーフボードビルダーは、まさに無から有を生みだす情熱と創意工夫で手探りのサーフボード作りをはじめていた。

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Found In Translation

「ファウンド・イン・トランスレーション」

ケープ・サン・フランシスが甦(よみがえ)ったシーズン。
文 : デレク・ハインド
かつてブルース・ブラウンが映画『エンドレスサマー』のなかで“終わりなきライド”が可能な地と紹介したケープ・サン・フランシスに、なんと今シーズン、50年ぶりにパーフェクトウェーブが甦った。そして、そこにつかのまでもケープ・サン・フランシスでの記念日を祝おうと、あの伝説のスターサーファー、ロバート・オーガストが帰ってきた。

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Art Maritime Cosmology

「海洋宇宙論」

海の多様性を表現したスコット・ブルードンの漂着アート
文:アレックス・ウィルソン
ブルードンの作品の軸となっているのは、マリタイム・コスモロジー、海洋宇宙論と名づけられた独自のコンセプトである。彼は、海やビーチでさまざまに変化する要素を追求する。「海の近くに住んでいれば、かならずなんらかの影響をうける。海水には浄化(じょうか)作用もあれば、漂白したり形を変えたりする作用もある。ぼくの作品の共通点なんだ」と彼は言う。ただその隠されたテーマは、作品を見ただけでわかるほどあきらかではない。海岸沿いの住人であり、サーファーであることは、たいてい二の次の要素となっている。広い意味で、彼の作品にノーティカルなテーマは見てとれるし、作品には波、海岸線、海の生きもの、沈没船などが取りいれられてはいるが、こういった要素はたいていシュールレアリズムや原始主義、マジカルレアリズム(幻想芸術)といったテーマと渾然一体(こんぜんいったい)となって、海そのものは控えめな存在となっている。スカウ船(大型平底船)ではなく、スカウ船が不気味に浮遊している部分に目がいき、ビーチに沿ってブレークする波ではなく、その背景に描かれた滅亡後の世界に目がいくわけだ。

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Portfolio: Mick Curley

「モダン・バリネシアのむこう側」

動きだけじゃなく、その場所でそのときに感じたこと。その瞬間にある感覚を可能な限りとらえることを、ぼくはいつも心がけている。
文:マット・ジョージ
バリに住み、サーフィンを中心に追いかけるサーフ・フォトグラファー、ミック・カーリーの作品集。

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